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イヌ科イヌ属の家族と暮らす


  飼い主の意識が変われば、イヌも変わる

「イヌ科イヌ属の家族と暮らす」ことには、喜びとともに責任もあります。
「理想のイヌ科イヌ属の家族」って、どんなコでしょうか?

写真マーキングをしない。散歩中に出会った犬に吠えない。リーダーウォーク(側脚)ができる。勝手な行動をしない。ベッドやソファなど禁止した場所に入らない。人間の食べ物を取ったり、ねだったりしない。家の中でのルールや日課をちゃんと守れて、いたずらをしない。家でも外でも外出先でも、落ち着いていられる。夜には自分からクレートに入って寝る。保護者がリーダーであることを認識して、パックの中での序列を理解している。

そのすべてができて、はじめて「理想のコ」でしょうか?
そう考えてしまったら、とても苦しくはないでしょうか?

今までたくさんのしつけの本を読み、市販のDVDはほぼ全部見ました。そこには「対策」がたくさん載っていました。
 「家族全員がイヌ属に対して、毅然とした態度で接しましょう」
 「決して誘惑や要求に負けない・受け入れないようにしましょう」
 「必要以上に愛情を注いだりしてはいけません」
 「良くない行いは、徹底的に無視をしましょう」
 「イヌ科イヌ属は、いつも誰かに仕えたいと思っているので、保護者は絶対的なリーダーでなければなりません」

「基本的に群れで生活する動物であり、自分の所属しているグループ以外の相手には警戒心が強いことが多い。また、グループ内では厳格な順位付けを行なっており、人間がしっかりとしていないと自分が上位の存在と認識してしまう。こうなると大変なので、犬を猫かわいがりして甘やかすのは非常に危険である」
などと書かれていたりすると、焦ってしまいますよね。

写真かと思うと、
 「愛情を持って接していれば、必ず伝わります」
 「良い行いに導いて、失敗をさせないように」
 「叱るのは良くないので、褒めて育てましょう」
 「声を荒げたり怒鳴ったりすると信頼関係が育たないので、常に笑顔でやさしく声をかけましょう」
などとも言われています。
勉強をすればするほど、訳が分からなくなりませんか?

イヌ科イヌ属といっても、千差万別です。体格から性格に至るまで、個体差もあり、犬種による違いもあります。本当にしなくてはいけないことは、一体なんでしょうか?いいかげん、考え疲れてしまったころに友人が紹介してくれたのが、MASUMI HARAでした。ブログ⇒TOUGH LOVE・安楽死からの再挑戦. ホームページ⇒Doggies911

まず、ブログを読んでみてわかったこと。MASUMI HARAは、米・ロサンジェルスで「Doggies911」というレスキュー団体を主催しています。シェルターから引き出したコをリハビリして新しい家族を探す、という活動なのですが、私が今までに関わった日本の団体とどこが違っているのかと言うと、「リハビリ」です。「噛むから」という理由で捨てられたコをレスキューしたら、「噛むこと」もそのコの個性として受け入れる家族を探す、というのが今まで私が見て来た方法。だから、そのコが同じ理由でまた舞い戻って来ることも多かったのです。

しかし、MASUMIはレスキューしたコを完全に「リハビリ」していました。いわゆる一般的なしつけをするドッグ・トレーナーではなく、「ドッグ・ビヘイビアリスト」だったのです。日本では馴染みがありませんが、「イヌの行動心理カウンセラー」です。 いわゆる問題行動といわれるものも、人間が勝手に「問題」と言っているだけで、イヌ科イヌ属の方からすると、健全な自己主張の表れなのかもしれません。

MASUMIのブログで私がココロを打たれたのは、「イヌがどういう気持ちでそういう態度をとっているのか、飼い主にイヌの気持ちを伝えることから始めます。それが分析になるんですけど、イヌをきちんと受け止めてあげることが、まず先決なんです」という言葉です。「なんで暴れるの!?」 ではなく、そのときイヌに何が起こっているのか、イヌの心理を飼い主がきちんと理解し、どう対処すればイヌのバランスが取れるのかを知る。飼い主の意識が変われば、イヌが変わる、というのです。

「変わるべきなのは、保護者」。これが全ての変化の入り口でした。続く→

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