運命だったのかな、なぜか「大丈夫」と思えた
SNSのスタンダードプードルのコミュニティで、虐待や飼育放棄を受けたうえ、山に捨てられた子がいると知りました。私はトリマーなので、「皮膚が荒れていた状態をなんとかしてあげられるかも」「里親さんが見つかるまで、あるいは見つかったあとも、経済的に一番大変なトリミングの協力をしたい」と思って連絡を取りました。それがエルソルとの出会いです。
最初はただ、「何かお手伝いが出来れば」という思いでした。わが家にはすでに3匹の猫と、社会化を逃した犬がいたので、「多頭飼いは向かないかもしれない」という情報の子は、お互いのために迎えてはいけないと思っていたからです。
けれどいろいろと話を聞くうち、気になって気になってしかたなくなりました。相性というか、勘というか。運命だったんだと思っています。周りの反対を説得してまわり、とうとうエルソルを迎えることになりました。
国内線に乗れない私が、迷わず飛行機を手配していました。伝えられていた問題点もなぜか「大丈夫」と思えたんです。
フィラリア陽性、腰や下肢にも異常が・・・
一番心配だったのは、他の犬との相性。ところが心配どころか、会った瞬間からすごく仲良くなり、ホッとしました。
里親になる際に多くの人が気にするのは、健康面としつけだと思います。しつけについては、トイレを覚えるのに数日かかりました。飼育放棄の場合、クレートに入れっぱなしなど、お部屋もトイレもない状態で過ごしてきた子が多いので、エルソルも最初は失敗がありました。けれど、先住犬がいたせいか、思ったよりスムーズに覚えてくれました。
体調が良くなるにつれ、「ガマン」ができる時間も長くなっていきました。今ではお留守番も大丈夫。お散歩は、少し後ろをゆっくり歩く感じで最初から上手にできていましたが、元気になってからは少しふざけすぎるくらいです。
健康面では、フィラリア陽性であることと、腰や下肢に異常があることをあらかじめ聞かされていました。多少の苦労はありましたが、フィラリアは現代では治らない病気ではなく、予防をキチンとしている子は大丈夫だそうです。腰は、エルソルが痛がらないことと、MRI、CT、脳骨髄液検査等すべて異常がなかったので、普通に暮らしています。
ずっと変わらぬ愛情を エルソルを迎えたことで、苦労よりずっと多くの幸せを得られました。怖がっているときも一緒にいると落ち着いたり、食が細いと聞いていたのに私からは何でも食べたり。今までのエルソンの生活を思うと、いたずらをしたときですら嬉しくなります。
もし里親になることを迷っているなら、迷いの理由をひとつずつクリアすることから始めるといいと思います。迷ったままでは、お互いに幸せにはなれません。
例えば、一緒にいる時間が十分かどうか悩んでいるなら、朝とか、夜帰ってきてからとか、自分だけで散歩に出る時間を作ってみることです。そして、「このくらいの散歩時間で大丈夫なワンかな?」と考えてみます。きっと、今いる環境より自分のもとに来た方が幸せになれる、と実感できると思います。
専門的なことをできなくても、ずっと変わらぬ愛情を注いでいく。一番大切なのは、それだと思います。一番簡単なことなのに、できない人が多い世の中。だから今、不幸な犬が増えているのだと思います。
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